オルチニン

オルチニン

お酒を飲む人のための食材として、すっかり定着した感のある「シジミ」ですが、実際はどのようなパワーを秘めているのでしょうか。摂取のタイミングや方法を含めて、料理研究家で管理栄養士に聞きました。オルチニン

 

オルニチンなどのアミノ酸が豊富
 シジミが二日酔いに効くメカニズムですが、関口さんによると、シジミにはオルニチンやタウリンなどのアミノ酸が豊富に含まれ、肝臓の働きを助けたり、解毒作用を高めたりする効果があります。

 オルニチンは血液に溶け込んでアンモニアを解毒し、肝機能を保護してくれます。また、アラニンやグルタミンにはアルコールの代謝を促進する働きがあります。メチオニンは、肝臓の働きをサポートし、タウリンには解毒作用があります。「これらを含んだシジミを摂取することで体内のアルコールが早く排出されるのです」。

 それでは、シジミは飲酒の前後どちらに摂取するのがいいのでしょうか。

「飲酒前に摂取しておくのがベストです。ただし二日酔いになった後でも、シジミはアルコール分解に必要な成分が豊富なため、肝臓の働きを助けてくれます」

 最後にシジミの摂取方法について聞きました。

「市販商品は有効成分を凝縮しているため、効果が高いと言えるでしょう。家でシジミ汁を作るのであれば、おろしニンニクを加えると一層効果的です」

隠れ肥満は大丈夫? 日本人の30%が抱える脂肪肝

年末年始のこの時期になると、アルコールの摂取量が増える人も多いのではないだろうか。忘年会や新年会、歓送迎会、自宅での晩酌などなど、飲酒の機会が目白押し。さらに高カロリーの食事をとる機会も増え、体重の増加が気になる季節だ。

 近年は、健康志向の高まりやメタボリックシンドロームなどの言葉が流行ったお陰もあって、普段から運動を心掛けている人が多くなっている。スマートフォンウェアラブル端末などを用いた健康管理もちょっとしたブームだ。


しかしながら、それでも尚、日本人の約30%近くが「脂肪肝」という調査結果が出ている。肝臓の病気といえばアルコールに起因するものというイメージが根強いが、飲酒習慣がなくても、高脂肪食などの過剰摂取により中性脂肪が肝臓にたまってしまうと、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や脂肪肝炎(NASH)になることがある。

 困ったことに、肝障害は自覚症状が殆どなく、国内患者数は約100~200万人とされているが、初期の場合は気が付いていない人も多いとみられ、健康診断などでようやく発見されるケースも多い。また、今後も患者数の増加が懸念されている。肝臓の脂肪化や線維化が進むと肝炎・肝硬変・肝臓がんに進行する恐れがある。

 今年9月には、大阪大学大学院医学系研究科の竹原徹郎教授と吉森保教授らが、脂肪肝を悪化させるタンパク質の解明に成功したと報告しているが、脂肪肝の治療やオートファジー不全を伴う病気の原因解明にはまだまだ不明な点も多く、大きな進展ではあるものの臨床段階に至るまでには、まだ時間がかかりそうだ。

 自覚症状がない分、他の病気以上に、普段からの予防が大切になってくるのは言うまでもない。普段からの予防はやはり、過度のアルコール摂取や高脂肪食を控えること、そして適度な運動することだ。とくに、30代後半以降の女性は、更年期近くなると女性ホルモンの分泌量の低下や筋力の衰えなどの理由から内臓脂肪がつきやすくなる。体重は軽く痩せて見えていても隠れ肥満であるケースも多くみられるので注意が必要だ。

 脂肪肝の予防や改善を目的としたサプリメントも多く見受けられるので、そういうものを利用するのもいいだろう。一般的に、脂肪肝に良いとされている成分は、オルニチン・タウリン不飽和脂肪酸・ビタミン・ミネラル・クエン酸などだが、最近の研究ではミツバチ由来のプロポリスにも脂肪肝予防効果の可能性があることが分かってきた。プロポリスは別名・蜂ヤニともいわれ、ミツバチが植物の樹脂や新芽などからつくりだすもので、フラボノイドをはじめ、各種ビタミン、ミネラルなどの有用成分を含んでおり、これまで抗腫瘍や抗菌、抗炎症、免疫力強化などの多様な効果が報告されている自然食品だ。

 株式会社山田養蜂場による「みつばち研究助成基金」の助成を受けた、近畿大学工学部の小川智弘助教の研究によって、プロポリスの継続的な摂取は、脂肪化や線維化から肝臓を保護し、脂肪肝やNASHを予防する可能性があることが明らかになった。今後、脂肪化や線維化により引き起こされる肝硬変や肝臓がんへの予防にも繋がることが期待される。

 自然食品が予防に有効であれば、副作用の心配も少ない。高齢者でも安心して食生活に取り入れることができるだろう。今後の研究に期待したいところだ。